選定基準
選定基準は次の5つ。
・過去、現在ではなく、未来の地域の特産品
・各地の地域性を生かし、時代にあわせたチャレンジをしている地域の特産品
・人々のコミュニケーションを誘発することができる地域の特産品
・本物志向で目の肥えた外国人旅行者たちが求める地域の特産品
・背景、歴史、作り手の想い、すべてを紡いだストーリーがある地域の特産品
私が特に大事にしたのはストーリー性です。
お土産として品物を渡しておしまいではなく、品物を渡しながら旅の思い出を一緒に話して盛り上がったり、お土産をきっかけにまた関西へ旅行に来てもらいたい。そんな視点で選定を行いました。(選考担当:DiGJAPAN! 鶴岡)
蛇の目洋傘(福井県:株式会社福井洋傘)
深紅の赤が印象的な日本の和傘。
時代劇や映画村などで「昔ながらの日本の小道具」として見かける和傘ですが、実は芸術性と実用性を備えた傘として現在も福井県で生産されています。
「蛇の目洋傘」は400年以上も歴史がある和傘を現代風にアレンジしあげた作品で、1本ずつ職人の手作業で仕上げています。骨組みには福井県の眼鏡フレームの技術を活かし、骨を24 本使うことで優しい曲線美を生み出し丈夫に仕上げています。
Information
株式会社福井洋傘住所:福井県福井市浜別所町4-4-2
http://www.fukuiyougasa.com/
これはもう「持っているだけで絵になる」和傘。深みのある赤と黒々とした柄のコントラストが美しくて、存在感がめちゃくちゃ強い主役級の傘です。黒い握り手の部分の艶がなんとも美しく、触れた感じはしっとりとしていて思わず感動してしまいます。福井洋傘さんは曹洞宗大本山永平寺御用達であり、車のレクサスとコラボした車内を濡らさない傘「ヌレンザ」を開発されているなど、伝統とチャレンジを両立されている点がすばらしいと思います。
かまどさん(三重県:長谷製陶株式会社)
日本製の電気炊飯器は高性能で外国人に人気ですが、土鍋で炊いたご飯のおいしさはまた格別。日本でも流行していますが、火加減いらずで昔ながらのかまど炊きのようなふっくら美味しいごはんが炊き上がるのが「かまどさん」です。
遠赤外線効果の高い釉薬を使用しているので、お米の芯まで熱が通りふっくらしたご飯が炊き上がります。洗練されたデザインなので、土鍋ごと食卓に出してもおしゃれです。
Information
長谷製陶株式会社
住所:三重県伊賀市丸柱569
http://www.igamono.co.jp
中国人の方が日本製の炊飯器を購入するのは「おいしいご飯が食べたい」から。お米大好きの日本人が「おいしいご飯」を食べたい気持ちと同じです。機能性はもちろんのことデザイン性やストーリーも重要視するアジア女性に、これからもっと土鍋炊きご飯が流行っていくと思います。東京恵比寿にあるアンテナショップ「東京店イガモノ」では、土鍋を使った料理教室も開催されています。土鍋レシピなどを紹介するFacebook(https://www.facebook.com/nagatanien.igamono/)もぜひチェックしてみてくださいね。
ヨシ筆ペンReEDEN(滋賀:株式会社コクヨ工業滋賀)
「日本の筆ペンは欧米を中心とした外国人に人気ですが、こちらの「ヨシ筆ペンReEDEN」は厳選した 天然のヨシをボディ部分に採用し、1本ずつ丁寧に作り上げた逸品です。大切な贈り物につかえるよう、桐の箱に入っています。スペアインクも入っていますので、海外に戻ってからも永く使えますね。琵琶湖・淀川水系のヨシを材料に使っていて、枯れヨシの活用促進とびわ湖の環境保全も考えて作られています。
Information
株式会社コクヨ工業滋賀
住所:滋賀県愛知郡愛荘町上蚊野312
https://www.kokuyo-shiga.co.jp/
ヨシ筆ペンReEDENで文字を書いてみてびっくりするのが、筆はこびのなめらかさ。まるで本物の筆と墨で書いているような感覚です。日本旅行で漢字や墨の世界に興味をもった外国人旅行者が、母国に帰ってからこの筆ペンを使って日本で覚えた漢字を書いてみる。そんな光景が目にうかんでくるような製品です。
胡粉ネイル(京都府:上羽絵惣株式会社)
日本最古の京都の絵具屋さんが開発した、日本らしい色あいが魅力の「胡粉ネイル」。
太陽や月の光、桃やいちごといった、日本ゆかりの自然な色を大事にした独自のカラー展開で、日本でも大人気の商品です。
胡粉、ホタテ貝殻の微粉末から作られるその天然素材の絵の具のことで、爪に優しく、爪に美しいツヤを与える効果もあります。いろんな色をお土産として購入し、お友達に好きな色を選んでもらうのも楽しいですね。
Information
上羽絵惣株式会社住所:京都府京都市下京区東洞院通高辻下ル燈籠町579
https://www.ueba.co.jp
日本製の化粧品は外国人旅行者に人気ですが、最近では日本各地のご当地感あるコスメの人気が高まっています。胡粉ネイルはその美しい色合いはもちろんですが、瓶にはられた白狐のラベルのデザインもオリエンタルな雰囲気でとっても素敵です。国籍を問わず、外国人旅行者に広く人気になりそうな日本代表ネイルです。
宝づくし最中(大阪府:浪芳庵株式会社)
鯛に小判、だるまに招き猫。
日本の縁起物をモチーフにした6種類のもなかの皮に、自分で粒あんをつめていただく和菓子です。おみくじも入っていますので、日本の思い出話とともにみんなで楽しく食べていただけそうです。大阪にある本店にはカフェもあり、自分でお団子を焼いて食べるスペースもありますので、日本に来たらぜひ訪れてみてくださいね。
Information
浪芳庵株式会社住所:大阪市浪速区敷津東1-7-31
http://www.namiyoshian.jp
にぎやかな縁起物がなんとも愛らしくユーモアがあるところが大阪らしいお菓子だと思いました。「宝づくし最中」は見た目の工夫もすばらしいのですが、お味もとっても美味しいのです。香ばしくサクッと軽やかな最中の皮に、素材の良さが光る粒あんをたっぷり詰めて召し上がってみてください。
ルーツショール(兵庫県:有限会社玉木新雌)
触ってみるとやわらかさと肌あたりの良さに感動するのが、こちらの玉木新雌の「ルーツショール」。これはぜひ実際に手にとって触ってほしい商品です。
先に糸を染め多彩な柄に織り上げる「先染織物」の「播州織」。デザイナーの玉木氏が北播磨(兵庫県北部)に移り住み、数点ずつ丁寧に織り上げています。色鮮やかなショールはまるで芸術品のような美しさですが、使うほどに風合いが増し、末永く愛用してもらえる逸品です。
Information
有限会社玉木新雌住所:兵庫県西脇市比延町550-1
http://niime.jp/
今回受賞されたショール以外にもニットやパンツなどの洋服も展開されています。触ったときのなんともいえない優しさから、大事に大事に織られた製品であることが伝わってきます。玉木氏はコットンの無農薬栽培にも取り組んでるそうで、地域に根ざしたものづくりをされている点も審査会では評価されました。
Design Setta SANGO
(奈良県:株式会社DESIGN SETTA SANGO)
江戸時代から続くといわれる、奈良県三郷町の草履・雪駄づくり。最盛期には全国の8 割以上を生産していたと言われています。生活様式の変化で草履の需要も減りつつある中、地元の職人が現代のスタイルにも合うように新たにデザインしたのがこの雪駄です。
目につく鼻緒の部分は、ヨーロッパのヴィンテージ生地を使用。モダンでスタイリッシュなそのデザインは、おしゃれに彩ります。また足を乗せる部分には、コーヒーの麻袋にも使われる天然繊維で作られたドンゴロスや、パナマハットを想起する素材を用いています。それらの素材から職人が丁寧に作り上げたこの雪駄は、見た目だけでなく履き心地も最高です。
Information
株式会社DESIGN SETTA SANGO住所:奈良県生駒郡三郷町立野南1-24-5
http://designsetta.jp/
サンダルのように気軽に履ける雪駄でジーンズやスカートにも合うデザインがとっても素敵です。クッション性もあって、まさに「履いていて気持ちがいい」というコンセプト通りなんです。写真はヨーロッパの生地を使った雪駄ですが、これ以外にも日本のテキスタイルデザイナーの記事を使ったタイプもあります。公式サイト(http://designsetta.jp/)にいろんなデザインの商品がありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
梅酒遥(和歌山県:河本食品株式会社)
爽やかな梅の香りが広がり、深いコクをお楽しみ頂けます。香料や着色料の添加物は一切使用しない無添加のため、あと味は驚くほどすっきり。さらりとした飲み心地の梅酒です。紀州南高梅を知り尽くしている職人だからこそ再現できる芳醇で豊かな味わいです。梅の本場で梅干し店が作った無添加の梅酒は、本物志向の外国人にきっと人気になる逸品で、筆で「遥」と書かれた日本的なラベルもポイントです。
Information
河本食品株式会社住所:和歌山県日高郡みなべ町気佐藤367-1
http://www.kawamotokk.co.jp/item_umeshu-haruka.html
海外や訪日旅行客の間で日本酒ブームを追いかけるように人気になってきているのが梅酒。こちらの梅酒はものすごく香り高くてまろやか。写真ではロックになっていますが、最初は氷で割らずにそのまま飲んでみてもらえるとはなやかな香りが楽しめると思います。一般的な梅酒に比べて遥はこっくりした黄金の色が美しいのですが、これには熟した梅を使っているからこそなのだそうです。
千代むすび純米大吟醸強力40(鳥取県:千代むすび酒造株式会社)
鳥取県固有の酒米の「強力」を40%まで磨き上げて作りました。穏やかな香りと上品なコクのあるお酒です。その土地にしかない米と水でつくられた、本来の地酒を造りたいという熱い思いがこもっています。
「強力」はその栽培の難しさから姿を消しかけていたところを、地域一丸となって復活させました。鳥取県外は門外不出という酒米「強力」で醸した個性豊かな日本酒です。
Information
千代むすび酒造株式会社住所:鳥取県境港市大正町131
http://www.chiyomusubi.co.jp/
東京都内でもこの「強力」のお酒はなかなか飲めない、貴重なお酒です。先日、都内にあるこだわりの日本酒をセレクトした居酒屋さんに置いてありましたが1本のみ入荷したとのことでした。もし、みかけたらぜひ試してみてほしい逸品です。
藍染めうちわ段染め(徳島県:阿波手漉和紙商工業協同組合)
Information
阿波手漉和紙商工業協同組合(アワガミファクトリー)住所:徳島県吉野川市山川町川東141
http://www.awagami.or.jp/about/history/index.html
日本の青といえば「藍」の色ですが、こちらのうちわは深い海のような藍から軽やかで明るい藍まで、日本の藍色の変化をたのしむことができます。藍を引き立てる白い和紙の部分も美しく、清廉潔白で清々しい雰囲気を醸し出してくれます。
審査員特別賞
かきたねキッチンのかきたね(大阪府:とよす株式会社)
大阪の名店「とよす」が運営する「かきたねキッチン」は、変わり種の高級な柿の種を発売しています。梅ざらめ、海鮮風塩だれ、芳醇じゃがバター、和風だしカレー、照り焼きマヨネーズなど、とにかく個性的なフレーバーがたくさんあります。外国人向けお土産で重要な要素が「パッケージ」ですが、こちらの商品はパッケージもかわいらしく色とりどり。たのしくなる日本のお菓子です。
Information
とよす株式会社住所:大阪府池田市住吉1-3-11
http://www.toyosu.co.jp/kakitanekitchen/
一般的なかきのためより大きく、食べ応えがあるおせんべいです。海鮮風塩だれ、和風だしカレーなどは複雑な味わいで、とても贅沢なかきのたねといった雰囲気です。国籍や年齢問わず好かれそうなところも受賞のポイントでした。どの味もおいしいのですが、「わさびと醤油合わせ」は審査会でも人気のフレーバーでした。
審査員特別賞
かたやき(三重県:有限会社伊賀菓庵山本)
「かたやき」は忍菓と呼ばれ、伊賀忍者の携帯食だったそうです。日持ちするので合戦地で保存食として重宝されたそうです。原料は小麦粉、砂糖、胡麻等で栄養価も高く、添加物不使用。ほどよい甘さと芳しい香り、歯ごたえ、素朴な伊賀地方の銘菓。伊賀忍者に由来するところや、食べる時に割る楽しさなど、話題性に富んだ一品です。
Information
有限会社伊賀菓庵山本住所:三重県伊賀市上野魚町2887-2
http://www.katayaki.co.jp/katayaki/index.htm
とにかく堅い!もう笑ってしまうほど、とても堅いお菓子です。割って口に入れてもなかなか噛み砕けないので、小さくしてから口に入れてくださいね。そしてこのかたやきは堅いだけでなく、味わいがとても豊か。たいへん美味しいお菓子なのです。付属の木槌で割るときは、思い切ってたたかないとなかなか割れません。遠慮せずに思い切って割ってくださいね。みなさんで楽しいんでたべてもらいたいお菓子です。
審査員特別賞
遊中川 花ふきん(奈良県:中川政七商店)
Information
株式会社中川政七商店住所:奈良市東九条町1112-1
http://www.yu-nakagawa.co.jp/top/
「花ふきん」の淡い色合いがなんとも日本らしく、見ても触れてもやさしい気持ちになる日本らしい布の逸品です。布製品は軽くて持ち運びやすいのでお土産にも最適です。ふきんとして販売されていますが、キッチンだけでなくアイデア次第でさまざまな場面で自由に使っていただける商品である点もいいと思いました。
はなやか関西 シンボルマークが目印
はなやか関西セレクション2016受賞商品は、ピンクのロゴマークが目印です。
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この記事は2017年01月20日の情報です。 文:Yuko Tsuruoka
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