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唐桑御殿つなかんタイトル画像

STORY

 

気仙沼が第ニのふるさとに
牡蠣の民宿「唐桑御殿つなかん」

 

 
 
宮城県気仙沼に、まるで太陽のような笑顔の女将さんがいる民宿「唐桑御殿(からくわごてん)つなかん」があります。ここ民宿「つなかん」を訪れた人は、まるで自分のふるさとに帰ってきたような気持ちになる、と話します。

震災後、女将さんの魅力にひかれて地元の人や旅人が集い、隣接するツリーハウスや蔵では音楽ライブやパーティーなどのイベントが開かれるようになり、「つなかん」が気仙沼の新しい笑顔の発信基地となりました。

そんな「つなかん」と気仙沼の魅力を、気仙沼市唐桑に住んでいる DiGJAPAN!Web地方特派員 玉川千晴さんの取材を元にご紹介します。
 

100年続く牡蠣の養殖業者が始めた民宿


「唐桑御殿つなかん」は、宮城県気仙沼市の唐桑半島にあります。リアス式海岸の海と山に囲まれて、キラキラと光る海と真っ青な空がとっても美しい場所です。
 
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実はこの唐桑町は、2011年の東日本大震災で大きな被害を受けた場所でもあります。
その唐桑町で100年続く牡蠣養殖業を営んでいる、盛屋水産の菅野 一代(かんの いちよ)さんが震災後に始めた民宿が「つなかん」です。

海で仕事をし、海のそばで暮らしていた菅野一家は、震災で仕事道具も自宅もすべて流されてしまいました。たくさんのものを失い落ち込んでいた女将ですが、震災後に来たボランティアからの支援、たくさんの人との出会いにより、笑顔が人と町を明るくなることに気づきました。そこで、町に人を呼んでみんなを元気にしようと、家業である牡蠣養殖を活かし牡蠣料理を提供する民宿を始めました。
 

家族の愛が込められた立派な唐桑御殿


唐桑御殿とは、この地域で見ることができる入母屋造の日本家屋の総称です。「つなかん」はその唐桑御殿を改装してつくられた民宿です。

唐桑御殿は何ヶ月も海の上で漁をするお父さんが、自分のいない間に家族をしっかり守ってくれるように、梁や柱が頑丈で大きな造りになっています。また、家で帰りを待つお母さんがお父さんの航海安全と大漁をお祈りできるように、大きな神棚がついているのも特徴です。つまり、家族がお互いを思い合って建てられた家が唐桑御殿なのです。

家の間取りはゆったりとした設計になっていて、何ヶ月かぶりに漁から帰ってきたお父さんが足を伸ばして広々とくつろぐことができます。部屋の欄間や小窓は、日本建築ならではの凝った装飾がされています。都会の現代的な住宅ではあまりみられない威風堂々とした唐桑御殿は、気仙沼の海や空と見事に調和しています。
 
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日本家屋の「つなかん」ですが、畳部屋があるのはもちろん、ベットがある洋室もあります。外国人旅行者はせっかくだから畳の和室を楽しみたい方もいますが、ベットでゆっくり寝たい方には洋室を選んでもらうことができます。
 
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まるで太陽のような女将 一代さん


女将の一代(いちよ)さんは、大きな声で笑う、まるで太陽みたいに明るい人です。
一代さんの突き抜けた明るさを目の前にすると、誰もがつられて自然と笑顔になってしまいます。一代さんは、震災を経験してたくさんの人と出会い、助けられたことで、出会う人すべてに「出会えたことが心底嬉しい」と思うようになったそうです。そして、出会う人にはいつも「ありがとう」の気持ちを伝えるようになったという一代さん。そんな一代さんの気持ちがみんなにも伝わって、気仙沼に多くの笑顔を増やしています。
 
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「つなかん」に泊まったお客さんの顔は、ほとんど覚えているという一代さん。そんな一代さんに会いたくて、国内外から多くの旅人が「つなかん」を訪れます。年に何度も訪れるリピーターも多く、一代さんが「つなかん」の名物のような存在になっています。
 
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プリプリの牡蠣でもてなす「つなかん」の夕食


夕食には唐桑の海や山でとれた新鮮な食材を使った、牡蠣と魚料理のコースです。おすすめは、盛屋水産が生産している牡蠣!みんなのよろこぶ顔が見たくて、夏の暑い陽も冬の寒い日も朝の暗い時間から起きて一日中お世話をして育ててきた、我が子のような自慢の牡蠣です。

この地域では「森は海の恋人」運動と言って、おいしい海産物を育てるために森を守るために植樹をする活動をしています。地域の人たちも手伝って大事に育てられた豊かな山からは、たくさんの栄養が海に流れ込みます。その栄養を吸収した牡蠣は身もぷりぷりで、味もしっかりしています。
 
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生牡蠣だけでなく、「つなかん」では牡蠣のにぎりずしも出ることがあります。
 
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運がよければウニもこの通り山盛りです。
 
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料理長は東京と北海道で10年修行をつんだという寿司職人。お願いすると寿司も握ってくれます。
 
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先付け、造里、焼き物、揚げ物、煮物、蒸し物、炊き込みご飯、お椀など8~9品が並びます。春はワカメ、夏はウニ、秋は秋刀魚やカツオ、冬は鱈など、季節ごとに違った旬の食材で、四季折々の料理が楽しめます。
 
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地元のおばちゃんが作った野菜や、漁師のおじちゃんが採った魚、季節ごとに新鮮な旬の食材を使った料理が並びます。牡蠣を育てた海や、野菜を育てた大地、育てた人を近くに感じながらご飯を頂くと、なんだか特別な気分になります。
 

田舎のおばあちゃんちに来たような安心感


「つなかん」の玄関を入ってすぐ近くには、掘りゴタツのある居間があります。ご飯を食べた後は宿泊客や女将、遊びにきた地元の人が居間に集まり、家族のだんらんのようにコタツを囲みます。初めて会う旅人も地元の人も民宿のスタッフも垣根なく、一緒にお酒を飲んだり「あなたはどこから来たの」なんて話をしたり。時にはコタツを囲んで人生相談や、ボードゲームが始まることもあります。
 
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つなかんに来るお客さんはよく、「故郷に帰ってきたみたい」とか「おばあちゃんの家に来たみたい」といいます。
自分が普段生活している場所からちょっと遠い自然豊かな場所で、ちょっとおせっかいにお世話をしてくれるスタッフや愛嬌のある女将さんがいる。ゆったりと自分のペースでくつろぐげる、そんな居心地の良さや、あったかい雰囲気が昔ながらの懐かしい日本の風景を思い出させたり、田舎のおばあちゃんちで過ごしているような気分にさせてくれるのかもしれません。
 

ツリーハウスや蔵でのイベントもお楽しみ


このまちには、大きなショッピングモールも遊園地もありません。ないものを他に求めるより、楽しいことは自分たちでつくっていこうとツリーハウスを作ったり、自分たちでイベントを企画したり。そんな自由に利用できるのも「つなかん」の魅力です。

そんな「つなかん」の隣には、小さなツリーハウスがあります。大きな桜のふもとに建つツリーハウスです。震災後、東北ツリーハウス観光協会が東北にツリーハウス100個を目標にして始めた活動の、4つめのツリーハウスがここです。近くに海になぞらえた曲線のある青色の外壁が特徴です。地元の人やボランティアの力を借りて、みんなの夢を形にしたのがこのツリーハウスなのです。
 
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ツリーハウスのデッキから梯子で登ると、4人で満員になるくらいの小さな部屋があります。
部屋の正面には横長の窓があり、風景を切り取るように周りを見渡せます。自分だけの小さな部屋の中で、ゆっくり沈む夕日や周りの風景を静かに味わうことができます。
 
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近くにはウッドデッキがあり、昼はピクニック、夜は寝転んで星空を見ることもできます。
たまに、山から食べ物を探しにやってきた野生の鹿に遭遇することもあり、自然の中にいることが実感できます。
 
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漁具収納庫として利用していた蔵を改装したスペースもあります。「つな蔵」と呼んでいます。みんなで楽しもうと、地元の住民やつなかん宿泊客が音楽ライブ、映画上映会やご飯会などイベントを開いています。
 
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気仙沼の大自然を体感する5つのポイント


周りには気仙沼の大自然を体感できすスポットもあります。
外国人旅行者の方はもちろん、都会に住んでいる日本人の方もきっとその美しさには感動してしまうはず。
そんな魅力的なスポットの中から、気仙沼出身の私がおすすめする5つのスポットをご紹介します。

1.岩場トレッキング

近くには国立公園になっている巨釜半蔵というスポットがあります。そこでは、地元のガイドをつけて岩場でトレッキングができます。断崖絶壁の岩場で、ハラハラドキドキしながらダイナミックな自然を体感できます。途中休憩で岩に座ってコーヒータイムがおすすめ。近くに上る海の波しぶきを浴びながら遠く広がる海を見ていると開放的で最高の気分です。
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2.德仙丈山(とくせんじょうさん)

つなかんから車で40分ほどのところにはツツジの名所があります。5月末には山一面に咲くツツジを見ることができます。ツツジの花が見渡す限り広がり、真っ赤なグラデーションの美しい光景に圧倒されます。登山口から山頂(標高711m)まで続くツツジの道を歩いていると別世界にきたようです。
 
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3.牡蠣の養殖体験

このまちには海とともに生きるひとの暮らしがあります。少しでもこの地域の暮らしを身近に感じてほしい、そういう思いから、船にのって牡蠣の養殖体験・見学するメニューもあります。

船に乗船して牡蠣イカダを見学できます。牡蠣がどういう風に育てられているのか、どんな思いで育てているのか、熱い思いを聞くことができます。実際に育てている現場を見ると、牡蠣のおいしさもより美味しく感じるかもしれません。船の上からは陸を見ると、斜面にぽつりぽつりと並ぶ家々が見えます。その周りを囲む、緑豊かな山並みやリアス式海岸の複雑な地形を見ながら、この土地に住む人のことを想像してみてください。
 
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4.唐桑半島の夕焼け

唐桑は半島で三方向を海に囲まれているため、海から登る朝日と、海に沈む夕日を見ることができます。
つなかんから見える夕日は、海に浮かぶ牡蠣養殖のイカダ、山の稜線、リアス式海岸の入り組んだ地形を照らしてオレンジ色のグラデーションがとてもきれいです。
 
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5.唐桑の本当に美しい星空

近くにネオン街や明るい電飾がないことと、空気が澄んでいるため、星がよく見えます。夜、真っ暗な外に出て星空を見ていると、すぐ近くにある海から波の音がと聞こえてきてきます。唐桑の星空のすばらしさは、写真ではとうてい表現できません。ぜひとも、唐桑に実際に来ていただいてみなさんの目で見てもらいたいです。
 
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第二のふるさとをつくりに来てほしい


気仙沼の海や山で大自然を体験するのもいいですが、まるでここに住んでいるかのようにただゆっくりと気仙沼の風景を散歩するのもすてきな過ごし方だと思います。おいしい魚介類を食べ自然や人のあたたかさに触れて、またすぐにここ気仙沼に帰って来たくなる。きっと、あなたの第二のふるさとのような場所になるはずです。

一代さんが待つ民宿「唐桑御殿つなかん」に、ぜひ、いらしてくださいね。
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写真提供:唐桑御殿つなかん公式サイト

Inoformation

唐桑御殿つなかん
住所:宮城県気仙沼市唐桑町鮪立81
宿泊料:大人1泊2食(夕・朝)付 8,000円
つなかん 公式サイト
http://moriyasuisan.com/
つなかん Facebook つなかんつながり ~盛屋水産とゆかいな仲間たち~
https://www.facebook.com/tunakanmoriya/
東北ツリーハウス観光協会
http://www.tohokutreehouse.com

地方特派員ライター

玉川千晴 Chiharu Tamagawa
宮城県気仙沼市唐桑町出身
震災後、Uターンで地元企業に勤務。日々の小さな夢を描く100の夢を持つ女と呼ばれ、気仙沼の暮らしを楽しむイベントも企画している。地元のまちづくりサークル「からくわ丸」に参加。

地方特派員ライター制度について(プレスリリース)
http://www.mapple.co.jp/mapple/news/2017/01/7380.html

地方特派員ライター制度のお申し込みはこちら
http://digjapan.jp/service/web-writer/
 

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この記事は2017年01月19日の情報です。 文:DiGJAPAN!地方特派員

 

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