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外国人のための銭湯入門タイトル

STORY

 

銭湯大使ステファニー・コロインによる
外国人の銭湯入門

 

 
 
東京には歴史があり魅力的な銭湯が数多く残っています。社寺のような宮造りの建築、富士山が大きく描かれたペンキ絵、のれんや番台。古き良き日本の文化を伝えつつ、現在でも地元の人たちの生活に溶け込んでいるところに、外国人旅行者はもちろん、日本在住の外国人のみなさんにも興味を持ってもらえところではないでしょうか。そんな銭湯の魅力を、フランス出身で銭湯大使をつとめるステファニー・コロインさんにおしえてもらいます。外国人でも楽しめる銭湯の基本的な知識と入り方、実は意外に日本人にとっても役立つ情報かもしれませんね。

そして、この日本語版の記事は日本語が堪能なステファニーさんご自身によるものです。ステファニーさんの銭湯に対しての愛情がたくさん伝わってくる文章を、ぜひお楽しみください。
 

日本人でも知らない人が多い?銭湯の歴史

 

伝統的な銭湯建築
 
日本特有のお風呂文化である「銭湯」は何百年にもわたる長い間、日本の生活の中心に存在していました。昭和43年には全国で17000軒以上あった銭湯ですが、今でも都市部を中心に約2600軒あります。6世紀、仏教の伝来をきっかけに始まった「入浴」は、奈良、鎌倉、江戸、明治と時代とともに様式を変えながら今日の「銭湯」へ引き継がれ、今なお人々の生活に息づく日本の生活文化として広く庶民に愛されています。

外国人にはわかりにくい「温泉」と「銭湯」の違い

もしかすると外国の方には「温泉」と「銭湯」の違いはよくわかりにくいかもしれません。「温泉」は簡単に説明すると「特定の成分を含んだ温水や鉱水」のことです。一方、銭湯は入浴施設を指します。銭湯では地下水(井戸水)を使う銭湯がほとんどですが、一部の銭湯は使用している地下水が「温泉」なことがあります。意外と知らない方が多いのですが、「うちのお湯は温泉なんですよ!」という銭湯が実は都内にもかなりあるのです。
 

銭湯の入り方とマナー 


まず最初に外国のみなさんにとって嬉しいお知らせです。この記事を読まれている方の中には、ファッションや宗教上の理由でタトゥーをしている方もいらっしゃると思います。タトゥーについては地方の温泉などに行くと禁止されているところが多いのですが、銭湯(公衆浴場)では基本的に禁止されていません。私は500軒以上入っていますが、禁止されていた銭湯は2~3件くらいです。
(ただしスーパー銭湯ではよく禁止されていますのでご注意ください。)
 
銭湯の下駄箱
 
1)入り口に靴のロッカーがあるので靴を入れてください。靴を履いたまま入ってはいけません。靴のロッカーの鍵もなくさないように注意してくださいね。
 
銭湯の番台

2)入り口に料金を払う場所がありますのでそこで入浴料を払ってください。タオルや石鹸、シャンプーを買ったりレンタルできるところもあります。写真のような「番台」と呼ばれるスタイルの他にフロント形式の銭湯もあります。
 
銭湯の脱衣所

3)脱衣場に着いたら服を脱いで、荷物はロッカーに入れてください。入浴後、脱衣場に戻る前に必ず体を拭かなければならないので、浴室に入る際は、小さいタオルを持っていってください。
 
銭湯の洗い場
 
4)浴室に入ったら、桶と椅子をとってカラン(蛇口のあるところ)に行き、まずは体を洗ってください。あいている場所はどこでも使っていいですが、桶や椅子、私物のシャンプーなどが置いてある場所は他の人が使っている場所なので、何もない場所を選びましょう。
 
銭湯のマナー

5)入浴後、脱衣場に戻る際は使った桶と椅子をもとに戻し体をタオルできちんと拭いてから戻ってください。体を拭いてからでないと、脱衣場が濡れて他の方の迷惑になってしまいます。


銭湯の浴室内でのマナー 
  
・いきなり湯船に入らない
  ・体を洗うときは周りに気をつける
  ・体を洗ったら床についている泡をお湯で流す
  ・シャワーは必ず座って浴びる。※シャワーがついてない銭湯もあります 
  ・髪の長い方は髪の毛が湯船の中に浸からないようにゴムやクリップなどで髪の毛をとめてください  
  ・タオルを湯船に入れないでください(タオルが綺麗でもNGです)
  ・サウナに入る場合はサウナの後水風呂に入る前に汗を流す
汗をかいたまま直接湯船や水風呂に入ってはいけません。水風呂で潜るのもNGです

このように銭湯のマナーは難しくありません。
周りの方への配慮ができれば、外国人のみなさんも気持ちよく入ることができます。
 

持っていくと便利なもの

外国人の銭湯入門

最近ではタオル・シャンプー・ボディーソープを借りたりその場で購入したりできるので手ぶらで銭湯に行くこともできますが、私はお気に入りのタオルやスキンケア用品(特にオーガニックのもの)を小さいポーチに入れて持ち歩いています。
 

銭湯の魅力

美容と健康
外国人の銭湯入門

銭湯の魅力はたくさんありますが、まずはじめにあげるなら「美容と健康」に良いことです。銭湯での入浴は保湿効果が高く、とても肌に良いです。驚くほど綺麗な肌をした80歳のおばあちゃんに会うこともよくありますし、私もオーガニックのスキンケアを愛用していますが、銭湯で綺麗になった肌と相性がとてもよく、スキンケア効果が高まります。また、体を温めることは健康に非常に良いです。私自身、銭湯に通い始めてから、冬に風邪を引かなくなりました。また、よく銭湯でストレッチをしますが(周りに迷惑かけないように)、体が温まっているのですぐに体が柔らかくなりますし、以前はひどかった肩こりもおかげで楽になりました。

コミュニティ
銭湯ではコミュニケーションも重要
 
街の中にある銭湯は、いろいろな人が集まる地域のコミュニティそのものです。
子供と一緒に行けば家の中とは違う家族間のコミュニケーションを取れますし、子供にとってはマナー・躾を学ぶ場所にもなります。お年寄りにとっても、街の人と繋がる大事な場所に。若いカップルにはデートの場所にだってなりうるし、仕事帰りのサラリーマンにはお風呂のあがりのビールはたまらないでしょう。スポーツの後の銭湯もいいですよね。私は旅行の際に、その地域の銭湯で情報収集します。地域に根付いている銭湯だからこそ、常連さんや銭湯のご主人からローカルの情報が得られるのです。銭湯が持つコミュニティは、さまざまな場面で助けになるのです。
 
銭湯の庭園
 

銭湯とアート

銭湯の縁側
 
この二つはあまり関係がないと思う人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。銭湯には本当に多くのアートがあります。
日本の伝統的な建築様式である宮造りの銭湯は数多くありますし、浴室の壁画に描かれた雄大な富士山のペンキ絵や、モザイクタイル絵、脱衣場に縁側や和風の庭がある銭湯もあります。最近ではプロジェクションマッピングなど、現代アートを取り入れたデザイナーズ銭湯というジャンルの銭湯もあります。

ペンキ絵(銭湯の壁絵)について
北斎風のペンキ絵

ペンキ絵とは銭湯でよく見られる壁絵のことです。中でも富士山のペンキ絵はもっともポピュラーで色々な銭湯で見ることができます。富士山のペンキ絵のはじまりは、1912年に東京神田猿楽町の「キカイ湯」という銭湯で子供達を楽しませるために描かれたのが発祥だと言われています。
 
美しいペンキ絵

現在では富士山以外にも様々な図柄が銭湯のご主人のリクエストによって描かれます。浴室の壁画にペンキ絵を描ける絵師は、日本中で、丸山清人さん(81歳)、中島盛夫さん(71歳)、田中みずきさん(33歳)の3名のみで、この技法も貴重なものになりつつあります。

 

外国人にオススメの銭湯


新生湯(品川区旗の台)
新生湯

旗の台という品川区の素敵なエリアで、商店街の中にある銭湯です。
露天風呂、炭酸風呂、サウナ、生薬湯など、お風呂の種類が豊富な銭湯です。お湯も熱くないので、初めてでも安心して入れます。男湯と女湯の内装は異なりますが、週ごとに入れ替わるのも特徴です。

Information

住所:東京都品川区旗の台4-5-18
営業時間:火~金曜 15:30~00:30 土曜 15:00~00:30 日曜 11:00~00:00
定休日:毎週月曜日(祝祭日は営業 13:00~24:00)
URL:http://www.shinseiyu.jp/

大黒湯(墨田区押上)
大黒湯

浅草やスカイツリーからほど近い東京を代表する観光地の一つ「押上」にある銭湯です。
ここのお湯は温泉で、お湯の質は非常に良いです。浴室には、中島氏による富士山のペンキ絵があります。さらに、この銭湯には大露天風呂があり、日替わり(奇数日:女性 偶数日:男性)ですので運がよければ、空の下で、スカイツリーを眺めながら入浴ができます!加えてお風呂の設備も多くおすすめの銭湯です。

Information

住所:東京都墨田区横川3-12-14   
営業時間:平日15:00~24:00、土曜14:00~24:00
定休日:月曜日 *祝日のときは翌日休
URL: http://daikokuyu.com/profile.html(日本語)
    http://daikokuyu.com/english/index.html(英語) 
※フランス語もあります。

太田黒湯温泉 第二日の出湯(大田区蒲田)
太田黒湯温泉 第二日の出湯

この銭湯は大田区蒲田にあり、鯉のいる静かな日本庭園に面した黒湯露天風呂(天然の黒湯温泉)がある銭湯です。黒湯は美肌効果に優れていると言われています。露天風呂は交代制で毎月1日~15日が女湯、そして毎月16日~末日は男湯です。
また、外観は伝統的な宮造り建築で、浴室には田中みずき氏の富士山のペンキ絵があり、内装もレトロなデザインですので、大変落ち着いた空間になっています。

Information

住所:東京都大田区西蒲田6-5-17
営業時間:15:00-23:30
定休日:毎週水曜日
URL:http://www.hinodeyu.net/
 

番外編 ステファニーのSento Vocabulary 

Bandai(番台)
Old style desk entrance in between the women’s and men’s baths.

Furonto (フロント)
This is a front desk before entering the bath. 

Datsuiba (脱衣場)
Changing room with lockers. Also toilet, hair dryers, and sometimes a garden, television, massage chairs, books and various services depending on the sento. 

Yokutshitu (浴室)
The bathroom. When you enter the bath you will find a basin and a small stool. In the bathing area there is first the shower space and the bathtubs. At least one is a hot bath and depending on the place you can find several kinds such as: cold bath, massage bath, warm massage bath, aromatic bath, electric bath, sauna (use of the sauna may require an additional fee, most of the time between 200-400 yen) and sometimes you can even an find outdoor bath (rotenburo).

Kamaba (釜場)
The boiler and water pump system machinery room located in the area behind the bath area. Some uses gas, others electricity or even wood.
 
ステファニーから読者のみなさんへメッセージ
日本の文化を直接体感でき、美容と健康にもよく、アートを楽しめるうえに、お風呂上がりのビールが最高に美味しくて、デートの場所にもなり得る銭湯。日本に住んでいたり、日本に旅行にきたら、ぜひ一度足を運んでみてください。今まとは違う、生きた日本の一面をみられるはずです!
 

プロフィール

ステファニー・コロイン Stephanie Crohin

銭湯ジャーナリスト
銭湯大使(一般社団法人 日本銭湯文化協会 公認)
南フランスで生まれ、日本文学に興味を持ち、日本について深く研究したいという思いから2008 年、立教大学に1年間 交換留学で来日。
そのとき初めて銭湯と出会う。その後、日本を離れたが、縁あって再度来日。
銭湯巡りをしながら銭湯文化を世界中に広める為、ブログやInstagramで銭湯の情報を発信。
テレビやラジオへの出演も多数。2015年に日本銭湯文化協会公認の銭湯大使に任命され、東京のみならず日本全国の銭湯を巡り幅広く銭湯文化の普及に携わる。

ステファニー・コロイン ブログ
http://dokodemosento.com/
Instagram
Instagram: @_stephaniemelanie_

 

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この記事は2017年03月16日の情報です。 文:DiGJAPAN! 編集部

 

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