
STORY
富士山を間近に見上げながら「富士吉田さんぽ」
富士山の麓にある富士吉田市は、富士山信仰を支えた神社や御師(おし)の家々、昭和レトロな町並みなどが残り、のんびりと散策するのにピッタリです。ご当地グルメの吉田のうどん、抹茶スイーツなども味わえ、8月下旬には幻想的な「吉田の火祭り」も行われます。富士山を間近に感じながら、日本文化に触れるさんぽを楽しんでみましょう。
「抹茶ソフトクリーム350円」をいただくと、まずは見た目の美しさにビックリ。口に含むと抹茶の香りが広がり、爽やかなバニラの甘みと抹茶のほろ苦さが後に続きます。「おいしさの秘密は1kg4万円の最高級抹茶を惜しみなく使うことです。お茶屋だからできる強みです。」と専務取締役の清水洋征(ひろゆき)さんは胸を張ります。
テイクアウトメニューでは、ソフトクリームのほか「抹茶ラテ(温・冷)500円」「抹茶アフォガート600円」などもあります。また、販売コーナーでは「抹茶30g 1600円~」「静岡、鹿児島などの煎茶100g 500円~」や世界60カ国から厳選した自家焙煎の「スペシャリティコーヒー100g 600円~」なども取り揃えています。
住所:山梨県富士吉田市下吉田3-19-12(MAP)
営業時間:9:30~18:00
休業日:火曜
公式サイト:https://www.harukiya.com/
平安時代の武将・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が807年に創建したと伝わる神社です。御祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。富士山北麓に点在する浅間神社の中でも麓に位置することから「下宮浅間」や「冨士山下宮」とも呼ばれました。毎年9月19日の例大祭では、疾走する馬の上から射手が矢を的に放つ流鏑馬祭(やぶさめまつり)が奉納されます。一般的には、射抜いた的の数が重視されますが、こちらの神社では占人(うらびと)が馬の足跡(ひづめ跡)を見て、地域の吉兆を判断します。
境内の厩舎では神馬が飼育され、予約制で流鏑馬体験もできます。
参道の桜並木にはハート型のこぶを持つ御神木があり、恋愛のパワースポットとしても注目されています。
住所:山梨県富士吉田市下吉田3-32-18(MAP)
公式サイト:http://www.fgo.jp/~yabusame/
住所:山梨県富士吉田市下吉田(MAP)
※この場所は一般道路で車も多く走行します。撮影の際はご注意ください
富士みちの西側は西裏と呼ばれる歓楽街となり、1950年代にはスナック、居酒屋、バーなど200軒以上の飲食店があったそうです。その数は減りましたが「新世界乾杯通り」「子の神通り」「ウエストンキング通り」などの路地に入ると現役の店舗もあり、往時の雰囲気が感じられました。
昭和の佇まいを残しつつ営業を続ける本屋、趣のあるカフェ、料亭を使った元病院(見学は外観のみ)などが並ぶ「月江寺大門商店街」も味わい深いです。
吉田のうどんの特徴は、歯ごたえのあるコシの強さです。昭和初期の織物業が盛んだった頃は、男性が昼食に手打ちうどんを作ることが多く、うどん生地を強い力でこねたことから、コシの強いうどんが誕生しました。吉田のうどんは噛むほどに、おいしさが増します。店主の外川(とがわ)新吾さんは「海外からいらっしゃるお客さんは、初めて食べるコシの強いうどんに驚いていますよ。覚悟して来店してください」と笑います。
薬味の“すりだね”も吉田のうどんならでは。唐辛子ベースの“赤すりだね”と山椒ベースの“黒すりだね”があり、スープに加えると辛味が加わり、ガラリと味が変わります。
トッピング用の富士山型コロッケもぜひ試してみましょう。
住所:山梨県富士吉田市上吉田2-5-1 Q-STA 地下1F(MAP)
営業時間:10:00~18:15(L.O.)※麺がなくなり次第閉店
定休日:木曜
御師は富士山信仰を支えた宗教者で、富士山登拝で訪れた富士講信者を自宅に迎えて宿泊や食事の世話をしたり、各地に教えを普及したりしました。御師の家には富士山の神を祀る神殿があり、登拝できない信者のための祈祷なども行いました。江戸時代の最盛期には御師の家が86軒もあったそうです。
国道沿いの「御師町お休み処 インフォメーションセンター」では、往時の町並みを再現したジオラマを展示しています。
荘厳な参道を進むと木造では日本最大級となる大鳥居が迎えてくれます。
随神門、神楽殿、拝殿、本殿など11棟の建造物は国指定の重要文化財。拝殿に向かい左側に太郎杉、右側に夫婦杉がそそり立ち、右奥に富士山吉田口登山道入口となる登山門があります。
境内に諏訪神社もあり、拝殿の両脇には「吉田の火祭り」で宮出しされる明神型神輿と、赤い富士山の形をした御山神輿の2基が収められていました。御朱印は「北口本宮冨士浅間神社」「諏訪神社」「大塚丘」の3種類。神様にお参りをしてからいただきましょう。
住所:山梨県富士吉田市上吉田5558番地(MAP)

写真提供:やまなし観光推進機構
26日は神事の後に2基の御輿が上吉田地区を渡御し、夕方に一夜の宿となる御旅所(おたびしょ)に奉安されます。その後、国道137、139号の中央に立てられた高さ3mほどの大松明と各家が井桁に積んだ松明に火が灯されると、約2kmに及ぶ一本の火の道が現れ、町全体が幻想的な雰囲気に包まれます。
27日は朝から神輿渡御が行われ、日が暮れる頃に神社へ戻ります。神輿の後にすすきの玉串を持った氏子が続き、境内を周回すると熱気は最高潮に達します。最後に神事がおこなれ、神輿が戻されると終わりを迎えます。
※この記事は、2025年7月取材時点の情報をもとに作成しています。
※情報は変更される場合もありますので、お出かけ前に事前に公式サイト等でご確認ください。
執筆:内田晃
自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。街道、古道、巡礼道、路地など歩き取材を得意とする。日本旅行記者クラブ会員
富士山駅を下りると富士山がお出迎え
富士吉田さんぽのスタートは、富士急行線(富士山麓電気鉄道)富士山駅。プラットホームや駅併設のデパート「Q-STA(キュースタ)」の屋上に展望デッキがあり、左右に裾野を広げる優美な富士山を眺めることができます。北口には「富士山駅」の扁額を掲げた赤い鳥居がデザインされているのもユニークです。
鳥居の中に富士山が収まる人気の撮影スポット
富士山駅北口から右側に進み、富士みち(国道137号など)に出ると金鳥居(かなどりい)が見えます。最初の鳥居は江戸時代の1788年に建てられました。中国から製法が伝わった青銅を使用したため唐銅鳥居(からかねとりい)と呼ばれ、それが転じて「金鳥居(かなどりい)」と呼ばれるようになったそうです。現在の鳥居は1956年に再建されました。大きな鳥居と富士山を一枚の写真に収められる人気の撮影スポットです。
茶屋ならではの贅沢な抹茶ソフトクリーム
富士みちの坂道を下り続けていると、月江寺駅交差点の一角に「春木屋 月滴庵(げってきあん)」を見つけました。1978年から続く茶屋で、抹茶ソフトクリームとほうじ茶ソフトクリームを週替りに提供しています。
「抹茶ソフトクリーム350円」をいただくと、まずは見た目の美しさにビックリ。口に含むと抹茶の香りが広がり、爽やかなバニラの甘みと抹茶のほろ苦さが後に続きます。「おいしさの秘密は1kg4万円の最高級抹茶を惜しみなく使うことです。お茶屋だからできる強みです。」と専務取締役の清水洋征(ひろゆき)さんは胸を張ります。

テイクアウトメニューでは、ソフトクリームのほか「抹茶ラテ(温・冷)500円」「抹茶アフォガート600円」などもあります。また、販売コーナーでは「抹茶30g 1600円~」「静岡、鹿児島などの煎茶100g 500円~」や世界60カ国から厳選した自家焙煎の「スペシャリティコーヒー100g 600円~」なども取り揃えています。
Information
春木屋 月滴庵(げってきあん)住所:山梨県富士吉田市下吉田3-19-12(MAP)
営業時間:9:30~18:00
休業日:火曜
公式サイト:https://www.harukiya.com/
ひずめ跡で吉兆を占う流鏑馬祭りをいまに伝える
抹茶ソフトクリームでひと休みしたら、富士みちを再び下ります。5分ほどで「冨士山下宮小室浅間神社」に到着しました。
平安時代の武将・坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が807年に創建したと伝わる神社です。御祭神は木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。富士山北麓に点在する浅間神社の中でも麓に位置することから「下宮浅間」や「冨士山下宮」とも呼ばれました。毎年9月19日の例大祭では、疾走する馬の上から射手が矢を的に放つ流鏑馬祭(やぶさめまつり)が奉納されます。一般的には、射抜いた的の数が重視されますが、こちらの神社では占人(うらびと)が馬の足跡(ひづめ跡)を見て、地域の吉兆を判断します。

境内の厩舎では神馬が飼育され、予約制で流鏑馬体験もできます。

参道の桜並木にはハート型のこぶを持つ御神木があり、恋愛のパワースポットとしても注目されています。

Information
冨士山下宮小室浅間神社住所:山梨県富士吉田市下吉田3-32-18(MAP)
公式サイト:http://www.fgo.jp/~yabusame/
絶景スポット!本町二丁目交差点
ここからは富士みちを戻り、富士山駅へ向かいます。往路とは違って上り坂になりますが、正面に富士山が見えるので、やはり気分は高まります。なかでも、下吉田観光案内所が一角に立つ“本町二丁目交差点”は世界的に有名な絶景スポットで、昭和レトロな商店街の奥に迫力ある富士山がドーンと構えています。
Information
本町二丁目交差点住所:山梨県富士吉田市下吉田(MAP)
※この場所は一般道路で車も多く走行します。撮影の際はご注意ください
昭和レトロな月江寺界隈で路地裏さんぽ
このまま月江寺界隈を通り過ぎるのも惜しいので、観光案内所で見どころを聞いてみます。すると、富士みちから脇道に入った路地裏さんぽが面白いとのこと。さっそく、富士みちの東側、絹屋町と呼ばれた一角に入ってみます。せまい通りを挟んで2階建ての民家が並んでいました。説明板によるとこの辺りは大正時代から織物産業が盛んになり、東京、大阪などから多くの問屋や仲買人が買い付けに訪れたため、民家の座敷を借りて市を開いたそうです。
富士みちの西側は西裏と呼ばれる歓楽街となり、1950年代にはスナック、居酒屋、バーなど200軒以上の飲食店があったそうです。その数は減りましたが「新世界乾杯通り」「子の神通り」「ウエストンキング通り」などの路地に入ると現役の店舗もあり、往時の雰囲気が感じられました。


昭和の佇まいを残しつつ営業を続ける本屋、趣のあるカフェ、料亭を使った元病院(見学は外観のみ)などが並ぶ「月江寺大門商店街」も味わい深いです。


一度食べたらクセになる吉田のうどん
せっかく富士吉田市を訪ねたなら、昼食は吉田のうどんで決まりです。富士山駅併設の「Q-STA(キュースタ)」内にある「吉田うどん とがわ」は自家製麺所をもつ本格派のうどん店で、営業時間も長く、さんぽにはもってこいの一軒です。人気の「富士山うどん880円」は、ニンジンと玉ねぎを使った富士山型の天ぷら、甘辛く煮た豚肉、茹でキャベツ、味付け玉子などが乗る、ボリューム満点の一品です。

吉田のうどんの特徴は、歯ごたえのあるコシの強さです。昭和初期の織物業が盛んだった頃は、男性が昼食に手打ちうどんを作ることが多く、うどん生地を強い力でこねたことから、コシの強いうどんが誕生しました。吉田のうどんは噛むほどに、おいしさが増します。店主の外川(とがわ)新吾さんは「海外からいらっしゃるお客さんは、初めて食べるコシの強いうどんに驚いていますよ。覚悟して来店してください」と笑います。


薬味の“すりだね”も吉田のうどんならでは。唐辛子ベースの“赤すりだね”と山椒ベースの“黒すりだね”があり、スープに加えると辛味が加わり、ガラリと味が変わります。

トッピング用の富士山型コロッケもぜひ試してみましょう。

Information
吉田のうどん とがわ住所:山梨県富士吉田市上吉田2-5-1 Q-STA 地下1F(MAP)
営業時間:10:00~18:15(L.O.)※麺がなくなり次第閉店
定休日:木曜
富士山信仰の信者を世話した御師の家が並ぶ
富士山駅から北口本宮冨士浅間神社へ向かう富士みちの両脇には、御師(おし)の家が並んでいます。
御師は富士山信仰を支えた宗教者で、富士山登拝で訪れた富士講信者を自宅に迎えて宿泊や食事の世話をしたり、各地に教えを普及したりしました。御師の家には富士山の神を祀る神殿があり、登拝できない信者のための祈祷なども行いました。江戸時代の最盛期には御師の家が86軒もあったそうです。
国道沿いの「御師町お休み処 インフォメーションセンター」では、往時の町並みを再現したジオラマを展示しています。

富士山吉田口登山道入口となる北口本宮冨士浅間神社を参拝
北口本宮冨士浅間神社は、世界文化遺産の構成資産である神社で、富士山を神格化した女神の木花開耶姫命(このはなのさくやひめのみこと)、夫神の彦火瓊瓊杵尊(ひこほのににぎのみこと)、父神の大山祇神(おおやまづみのかみ)を御祭神に祀ります。
荘厳な参道を進むと木造では日本最大級となる大鳥居が迎えてくれます。

随神門、神楽殿、拝殿、本殿など11棟の建造物は国指定の重要文化財。拝殿に向かい左側に太郎杉、右側に夫婦杉がそそり立ち、右奥に富士山吉田口登山道入口となる登山門があります。


境内に諏訪神社もあり、拝殿の両脇には「吉田の火祭り」で宮出しされる明神型神輿と、赤い富士山の形をした御山神輿の2基が収められていました。御朱印は「北口本宮冨士浅間神社」「諏訪神社」「大塚丘」の3種類。神様にお参りをしてからいただきましょう。

Information
北口本宮冨士浅間神社住所:山梨県富士吉田市上吉田5558番地(MAP)
吉田の火祭りは、毎年8月26日~27日に開催!
吉田の火祭りは毎年8月26日、27日に開催される北口本宮冨士浅間神社と諏訪神社の祭礼で、日本三奇祭の1つに数えられます。400年以上前から富士山の噴火を鎮めるために行われています。
写真提供:やまなし観光推進機構
26日は神事の後に2基の御輿が上吉田地区を渡御し、夕方に一夜の宿となる御旅所(おたびしょ)に奉安されます。その後、国道137、139号の中央に立てられた高さ3mほどの大松明と各家が井桁に積んだ松明に火が灯されると、約2kmに及ぶ一本の火の道が現れ、町全体が幻想的な雰囲気に包まれます。

写真提供:やまなし観光推進機構

写真提供:やまなし観光推進機構
27日は朝から神輿渡御が行われ、日が暮れる頃に神社へ戻ります。神輿の後にすすきの玉串を持った氏子が続き、境内を周回すると熱気は最高潮に達します。最後に神事がおこなれ、神輿が戻されると終わりを迎えます。

写真提供:やまなし観光推進機構

写真提供:やまなし観光推進機構
富士山の歴史と文化を身近に感じるおさんぽコース
今回のさんぽコースは歩行距離6kmほどですが、富士吉田市の魅力がぎっしりと詰った内容です。月江寺界隈の居酒屋、スナックなどは夕方から営業を開始しますから再訪問して、昼の雰囲気との違いを楽しむのもおもしろいですね。【富士吉田さんぽおすすめモデルコース】
以下の周遊プランは一例です。所要時間は目安になります。【モデルプラン】
富士山駅
徒歩3分
金鳥居
徒歩15分
春木屋 月滴庵(げってきあん)
徒歩5分
冨士山下宮 小室浅間神社
徒歩1分
月江寺界隈・本町二丁目交差点
徒歩25分
吉田のうどん とがわ
徒歩5分
御師の町(御師町お休み処 インフォメーションセンター)
徒歩15分
北口本宮冨士浅間神社
徒歩20分
富士山駅
※この記事は、2025年7月取材時点の情報をもとに作成しています。
※情報は変更される場合もありますので、お出かけ前に事前に公式サイト等でご確認ください。
執筆:内田晃
自転車での日本一周を機に旅行記者を志す。街道、古道、巡礼道、路地など歩き取材を得意とする。日本旅行記者クラブ会員

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この記事は2025年08月16日の情報です。 文:DiGJAPAN! 編集部


















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