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リピーター続出!「玉川酒造」人気の秘密

STORY

 

リピーター続出!「玉川酒造」人気の秘密

 

 
 

日本酒の酒蔵の数が日本一の新潟県。
厳しい冬の寒さが美味しい酒を造るのに適した環境であることから、新潟県では豊かな酒文化を発展させてきました。中でも日本有数の豪雪地帯 魚沼市にある酒蔵「玉川酒造」は、寛文13年(1673年)第四代将軍徳川家綱公の時代より酒造りをしてきた歴史ある酒蔵です。

この「玉川酒造」ですが、訪れる客の4割がリピーターというたいへんな人気ぶり!外国人観光客の姿も増えているそうです。なぜこの雪深い地の「玉川酒造」が人気なのか、その秘密をDiGJAPAN!地方特派員 星 亜矢子さんが取材してきました。
 

3月でも雪が残る魚沼


玉川酒造は、日本の原風景が残る新潟県魚沼市にあります。
新潟県魚沼市は魚沼産コシヒカリで有名ですが、冬は積雪が3メートルを超える豪雪地域でもあります。取材は春が始まる3月初旬でしたが、玉川酒造に着いてまず最初に圧倒されるのは、春になっても残るその雪の多さです。
 

玉川酒造 雪の中の酒造


冬の間に降り積もった雪は高さ4~5メートルまで積み上げられ、人の背の高さを越す雪の壁となっています。まるで蔵を覆うかのように積み上げられた雪の入口は、玉川酒造が豪雪地帯の酒蔵であることを物語っています。雪の壁の間を進んでいくと、この幻想的な酒蔵に足を踏み入れる期待にワクワクしてきます。
 

玉川酒造の歴史


玉川酒造の酒造りは、今からおよそ340年前に始まりました。その歴史の古さは、新潟でも三本の指に入ると言われています。初代当主は農業で財を成した目黒家6代目の目黒五郎助。それから18代に渡り蔵人から蔵人へと伝統の技と味が受け継がれ、玉川酒造の酒造りは時代と共に進化を続けてきました。
 

玉川酒造 杉玉
 

酒造りは酒米作りと仕込み水から


日本酒の原料は「酒米」と呼ばれる米なのですが、「酒米作り」はその道のプロである米農家でなければ作れません。米作りのプロ、酒造りのプロ、それぞれの想いが重なり合って初めておいしい日本酒は完成します。その為、玉川酒造は農家の繁忙期の田植えや稲刈りに積極的に参加しています。米作りを通して酒米をより深く知り、それが酒の味につながっているのです。
 

玉川酒造 田植え


酒米と並んでもう一つ、日本酒の味の決め手として重要な原料が「仕込み水」です。使用する「仕込み水」は近くの山から湧き出る湧き水で、それを敷地内にひいて使用しています。5月~11月、雪のない時期には玉川酒造の敷地内で見れますし、容器があれば汲んで持ち帰ることもできます。冬場は外の湧き水は見れませんが、試飲のショップでは仕込み水を味わうことができます。
 

玉川酒造 石清水
 

いよいよ酒蔵見学へ!


玉川酒造の歴史と日本酒の材料を知ったところで、いよいよ酒蔵見学です。
玄関を入ると「蒸し場」が広がります。「蒸し場」は酒米を洗ったり蒸したりする場所です。「蒸し場」の見学をするなら、酒の生産期にあたる10月頃から翌年3月頃までとなります。おいしい日本酒を造るには寒い気候が欠かせない為、酒米の洗米や蒸しの作業はこの時期にしか見ることができません。
 

玉川酒造 見学

 

洗米(せんまい)

酒造りの工程のうち「洗米」の作業です。翌日の仕込みに使用する酒米を洗う工程です。洗米する米の種類や量は、造る酒の種類や量、仕込みの状況に応じて内容を変えているそうです。
 

玉川酒造 洗米

 

蒸米(むしまい)

前日に洗米した大量の酒米を、お湯を沸かした大きな釜の上にある大きな甑(こしき)で蒸します。甑(こしき)に入る酒米はおよそ1トン。米俵20俵程度の大量の米です。蒸す酒米の種類や量で変動はしますが、約80分程度蒸しあげます。
 

玉川酒造 蒸し米


蒸し場の建物は昔の小学校の体育館を移築してきたもので、90年以上使用され続けているそうです。天井は蒸気が逃げやすいよう格子状になっています。
 

玉川酒造 天井


蒸しあがった酒米を機械で吊るして甑(こしき)から出し、一定の温度になるまで冷まします。酒米を甑(こしき)から出す瞬間には辺り一面蒸気が立ち込め、蒸された酒米の自然豊かな香りが一気に漂います。
 

玉川酒造 蒸しあがり


仕込み
その後、酒米は仕込みを行うタンクへと移り、蔵人の手によって撹拌されます。大量の米や水、麹などが入ったタンクの中を撹拌する作業は非常に重労働ですが、おいしい日本酒をつくる為のとても重要な作業です。
 

玉川酒造 仕込み

※発酵ガスが充満したタンクの中には酸素がなく、万が一タンクに落ちると非常に危険な作業です。
したがって、この撹拌の様子は一般見学は行われていません。


「酒造りは生き物相手。だから、なかなか思うとおりになってくれない」と蔵人の和田さんは語ります。難しいと語りながらも、その年の米の出来や、気候、酒の状態を見ながら安定した味の日本酒造りができるのは、経験と伝統の技を継承された蔵人だからこそです。
 

玉川酒造 蔵人


こうして様々な工程や手間をじっくりかけて、やがておいしい日本酒が出来上がります。そしてこれらの一連の作業が終わる頃、玉川酒造の春はやってくるのです。

酒造の土蔵
蒸し場の奥に続くのが土蔵です。今もなお現役で使用されている土蔵は、大正元年に目黒邸から現在の場所に移築してきました。160年以上も使用され続けている古い建物の中は、まるでタイムスリップしたような感覚です。
 

玉川酒造 土蔵


天井に見える梁は重い雪を支えるため、頑丈な構造になっています。
 

玉川酒造 梁


外国人の方のために酒造りの工程を英語表記で案内しています。
 

玉川酒造 酒造りの工程
 

天然の冷蔵庫 雪室(ゆきむろ)


玉川酒造では造られた酒の一部を、雪でできた天然の冷蔵庫「雪室」に貯蔵します。雪室は貯蔵庫を雪で覆い、暖かくなると雪を更にシートで覆う構造になっていて、庫内は1年を通して2~3℃に保たれます。現在の5メートルほどある雪の量は夏には半分に減りますが、11月の寒気が入ってくる頃まで雪は残り、貯蔵庫内を冷やし続けます。
 

玉川酒造 雪室


地下の貯蔵庫に続く階段は、まるで秘密基地への入り口。
 

玉川酒造 貯蔵庫への階段


階段を降りた先にある貯蔵庫内は、ひんやりした柔らかな冷気に包まれています。雪に守られ熟成された日本酒は丸みを帯びたまろやかな味わいです。雪の多いこの地ならではの自然を活用した、豪雪地帯の特別な酒になります。
 

玉川酒造 貯蔵庫
 

いよいよ試飲!10種類の酒の違いを楽しもう


酒造見学のお楽しみと言えばやはり試飲!
玉川酒造では常時10種類の酒の試飲ができます。
 

玉川酒造 試飲


おちょこ一杯でも、並々注いで飲めばおよそ10種類で2合分になるとのこと。酒蔵見学でいろいろと学んだ後の酒の味はまた格別です。
 

玉川酒造 おちょこ


気に入ったお酒はその場で買うこともできます。
男性に人気のお酒は「越後武士(えちごさむらい)四十六度」。そのままロックで飲むのも良いですが、湯割りや水割りにしても非常に美味しいアルコール度数46度の日本酒です。肉料理や中華にもよく合います。そして女性に人気の高いお酒は、フルーティーで濃い味わいが評判の「越後武士(えちごさむらい)梅酒」。外国人にも、日本人にも人気だそうです。
 

オリジナル「半被」で記念撮影


玉川酒造のオリジナル半被を着て写真撮影ができます。日本の伝統衣装でもある半被をはおれば、旅の記念になること間違いなし!お土産話にも花が咲きそうです。
 

玉川酒造 半被


仕込み水の試飲も可能です。冬場は外の湧き水が見れないので、ぜひショップで仕込み水を味わってみてください。
 

玉川酒造 仕込み水
 

雪に守られた酒造ならではの魅力


豪雪地帯で脈々と受け継がれる酒造りを知ることで、日本の伝統や食文化を深く学ぶことができるのが玉川酒造の魅力です。ぜひ、酒造見学にでかけてみてください。

酒造見学は営業時間内であれば一人からでも大丈夫ですが、事前にお問い合わせいただくとよりスムーズなご対応が可能とのことです。見学前にお問い合わせいただく場合には、電話、または越後ゆきくら館Facebookにメッセージをしてみてください。海外の方には専門の通訳はいませんが、海外の方には翻訳機を使いながら案内してくれます。

写真:星亜矢子、玉川酒造株式会社

Information

玉川酒造株式会社 越後ゆきくら館
住所: 新潟県魚沼市須原1643
営業時間:9:00~16:00
休日:1月1日(元旦)のみ
玉川酒造公式サイト
http://www.yukikura.com/
玉川酒造Facebook
https://www.facebook.com/tamagawa.sake/
越後ゆきくら館
https://www.facebook.com/yukikurakan/

地方特派員ライター

星亜矢子 Ayako Hoshi
新潟県新潟市在住
「地元新潟の魅力を世界に発信したい!」という熱い思いで活動しているWebライター。日本酒はもちろん、祭り、神社、温泉、グルメなど幅広いジャンルをカバー。新潟県民が自信を持ってオススメする選りすぐり観光情報を深堀り取材でご紹介します。

地方特派員ライター制度について(プレスリリース)
http://www.mapple.co.jp/mapple/news/2017/01/7380.html

地方特派員ライター制度のお申し込みはこちら
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この記事は2017年04月17日の情報です。 文:DiGJAPAN! 編集部

 

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